駐車場は何台必要？（集客の落とし穴）

動物病院の開業を考える獣医師の方が、立地を決める段階で必ず悩むのが「動物病院駐車場何台」問題です。駅近で徒歩来院が多い地域ならまだしも、郊外や住宅街では来院手段が“車”中心になることが多く、駐車場が足りないだけで初診を取りこぼします。せっかくデジタルX線、超音波診断装置（エコー）、血液検査機器（CBC・生化学）、麻酔器、生体モニター、入院ケージを整えても、「停められない」「入りにくい」「雨の日が大変」で敬遠されると、集客の土台が崩れてしまいます。本郷いわしや動物病院開業支援

開業準備でよくある質問は「必要台数」より“失敗の理由”が見えないこと

相談でよく出るのは、こんな質問です。
「駐車場必要台数は最低何台？」
「ロードサイド駐車場は何台確保すべき？」
「近隣コインパーキングがあれば足りる？」
「満車で取りこぼしが出るのはどのタイミング？」
「送迎需要って本当にある？」
「回転率と来院ピークをどう読む？」

本郷いわしやも、開業立地の重要項目として“交通アクセスと駐車場”を挙げ、台数だけでなく導線設計まで含めて検討すべきだと整理しています。本郷いわしや動物病院開業支援+1
つまり、駐車場の問題は「◯台あればOK」ではなく、患者体験（停めやすさ、入口位置、雨天時の動きやすさ、大型犬対応）まで含めた“来院設計”そのものなのです。

悩みの具体例①：台数は確保したのに、出入りが悪くて実質1台分しか使えていない

「4台分あります」と言いつつ、実際は出入りがしづらく、患者さんが避けてしまうケースがあります。たとえば、道路から駐車場に入る角度がきつい、バックでしか出られない、歩道を横切る動線が危ない、入口位置が駐車場から遠い――こうした設計だと、同時に停められても“心理的には満車”になりがちです。

動物病院は、犬が興奮したり、キャリーの猫が暴れたり、飼い主が片手でリード・片手でキャリーという状況が普通に起こります。だからこそ、単純に台数を数えるより、動線設計と入口位置を含めて「使える駐車場か」を見る必要があります。本郷いわしや動物病院開業支援

悩みの具体例②：近隣コインパーキング頼みで、初診を落とす（特に雨天時・大型犬）

「近隣コインパーキングがあるから大丈夫」と判断した結果、開業後に取りこぼしが起きるパターンも多いです。理由は明確で、動物病院の来院は“荷物が多い”から。診察券、保険書類、検体（尿・便）、キャリー、リード、タオル……雨天時はさらに傘も必要です。大型犬なら抱えて移動もできず、距離があるだけで来院ハードルが跳ね上がります。

しかも初診の段階では、飼い主は「通い続けられるか」を強く見ています。コインパーキングが混んでいたり、雨の日に遠かったりすると、満車の取りこぼしが起きるだけでなく、リピート率にも影響します。本郷いわしや動物病院開業支援

駐車場で集患を落とさないための8つの実務ポイント

1) 「必要台数」は“ピーク時間×滞在時間”で考える（1人1台ではない）

駐車場必要台数を決めるとき、「予約枠＝同時に来る人数」ではありません。動物病院は滞在時間がブレやすいからです。

予防（ワクチン・フィラリア）は短め
皮膚科・慢性疾患は説明が長め
検査（血液・X線・エコー）が入ると長くなる
手術の入退院、入院面会も重なる

本郷いわしやの解説でも、ピーク時間帯基準で台数を考えることが重要とされています。本郷いわしや動物病院開業支援
つまり、「平均」ではなく「来院ピーク」を先に押さえ、回転率（何分で車が入れ替わるか）まで想定して台数を決めるのが現実的です。

2) “満車の取りこぼし”は初診よりも、実はリピートで効いてくる

満車取りこぼしは、初診の瞬間だけの問題ではありません。実は、継続来院（皮膚、心臓、腎臓、てんかん、関節など）の患者ほど「停められないなら別の病院へ」が起きやすい。理由は、飼い主が通院を生活に組み込んでいるからです。
開業直後に口コミが伸びない原因が、診療の質ではなく駐車体験にあるケースは珍しくありません。「通いやすい」が、最高の広告になるという視点を持つべきです。本郷いわしや動物病院開業支援

3) ロードサイド駐車場は「台数」より“入りやすさ・出やすさ”が優先

ロードサイド駐車場のメリットは、車来院を取り込めることですが、入口の設計を誤ると台数があっても機能しません。

右折入庫しづらい（中央分離帯、交通量）
出庫時の視界が悪い
入口の段差が大きく、車高の低い車が嫌がる
駐車区画が狭く、大型車が停めにくい

ロードサイドは「認知が取りやすい立地」になり得ますが、入れないなら意味がありません。台数より先に、“安全に入れる・出られる”導線を確保するのが正攻法です。本郷いわしや動物病院開業支援

4) 入口位置は「駐車場からの最短距離」だけでなく“安全動線”で決める

入口位置は、集患に直結します。車から降りた瞬間に犬が引っ張る、猫がキャリーから飛び出そうとする、雨の日は傘で手が塞がる――動物病院では日常です。
だから、入口は「近い」だけでなく、

車道と歩行動線が交差しない
段差が少ない（スロープの有無）
夜間でも明るい
雨天時に濡れにくい（ひさし）
といった安全性が重要になります。これは大型犬対応の基本でもあります。

5) 雨天時の来院を想定すると、必要台数の“体感”が変わる

雨天時は、コインパーキングの距離が致命傷になりやすいです。また、病院前の停車時間が伸びて、回転率来院ピークがさらに詰まります。

傘を差しながらキャリーを持つ
犬の足元が滑るのを気にする
濡れたまま院内に入る（清掃負担も増える）

この状況を想定すると、「台数は少なくても回転で回せる」という計画は崩れやすい。雨の日の混雑耐性は、駐車場計画の盲点になりがちなので、最初から織り込むべきです。

6) 近隣コインパーキングは“補助”として使う（使い方を設計する）

近隣コインパーキングがあるのはプラスですが、メイン導線にすると集患の落とし穴になります。おすすめは、“補助動線”として設計することです。
例：

病院前の駐車場は短時間枠（診察・会計中心）
長時間になりやすいケース（点滴、検査結果待ち）はコインパーキング誘導
その場合、案内を明確に（地図、料金目安、雨天時ルート）

「患者さんにどう使ってもらうか」を先に決めることで、コインパーキングが“取りこぼし防止”として機能します。

7) 送迎需要は“高齢者・大型犬・術後”で確実に発生する

送迎需要は地域によりますが、一定の確率で発生します。特に、

高齢の飼い主（公共交通中心の地域）
大型犬（移動負担が大きい）
術後や慢性疾患の通院（頻回通院）
で顕在化します。送迎をサービス化するか、タクシー・ペット送迎との連携を用意するかで、駐車場不足の弱点を補える場合があります。
「駐車場を増やせないなら、来院手段を増やす」という発想は、立地制約がある都市部ほど効きます。本郷いわしや動物病院開業支援

8) 最後は“診療圏調査”とセットで判断する：台数は立地の答えではなく結果

動物病院駐車場何台の答えは、立地のタイプと診療方針で変わります。住宅街で徒歩・自転車中心なら最低限でも回る可能性がある一方、郊外・ロードサイドで車中心なら台数が集患の土台になります。
本郷いわしやは、診療圏調査が候補地の優劣判断だけでなく、融資資料や集患・広告設計にもつながると整理しています。本郷いわしや動物病院開業支援
つまり、駐車場台数は単独で決めず、「診療圏（来院範囲）」「来院手段」「患者層」「競合状況」を踏まえて“現実の来院数”から逆算するのが最も安全です。

これらを実行すると、駐車場は“コスト”から“集患装置”に変わる

8つの視点で設計すると、駐車場は単なる付帯設備ではなく、集客の落とし穴を塞ぐ“集患装置”になります。必要台数をピークと回転率で考えることで、満車による取りこぼしが減り、初診だけでなくリピート率も改善します。入口位置と動線設計を整えることで、雨天時でも来院しやすくなり、大型犬対応の満足度が上がります。

さらに、近隣コインパーキングを補助導線として整備し、送迎需要の受け皿まで用意できれば、「駐車場が少ない＝不利」という状況を大きく緩和できます。結果として、「通いやすい」「停めやすい」という口コミが自然に広がり、広告費を増やし続けなくても安定した集患に近づきます。本郷いわしや動物病院開業支援

本郷いわしやだからできる、駐車場まで踏み込んだ立地設計のまとめ

駐車場は、開業後に増やしたくても増やせないことが多い“後戻りしにくい条件”です。だからこそ、物件を決める前に「駐車場の台数」と同じくらい「導線設計」「入口位置」「雨天時の運用」「来院ピークの回転率」まで検証する必要があります。

本郷いわしやは、動物病院開業支援の中で診療圏調査を重視し、立地の優劣判断・融資資料・集患戦略の基礎を作る枠組みを示しています。本郷いわしや動物病院開業支援
また、駐車場や交通アクセスの重要性についても具体的に解説しているため、候補地の比較や「何台必要か」の現実的なラインを考える材料になります。